『子供全員で建てたお墓は誰のもの?』 故人の子どもたちでお金を出しあって、親のお墓を建てた場合、お墓の所有権についてが問題になることがあります。しかし、民法では、お墓の所有権を1人にしなければならないと定めていません。ですから、子ども全員が所有権を持っても、問題はないのです。
また、祭祀主宰者の継承との関係ですが、既存の墓地やお墓の継承ではありませんから、お墓を建てた子どもたちのうち、慣習としては長男が主宰者を継承していることになります。
そして、お墓の施主名をどうするかが問題になります。これも、子ども全員の名前を連名にしてもかまいません。全員が所有権者ということをお墓に表記したことになります。
ただし、墓地管理者側では、墓地の使用上「永代使用承諾書」の名義人を、伝統的に1人に規定しています。こうした場合最も良い方法は、祭祀主宰者を施主の代表として協力し合うことでしょう。
ちなみに、女性だけの姉妹や女性の一人っ子の場合、問題になるのは実家のお墓を継承する時に、墓石に嫁ぎ先の姓名を彫ってもよいかということです。
寺院墓地の中には、姓の変わった娘の継承を認めない方針の所もありますが、この場合、当然嫁ぎ先の姓を入れることは不可能です。
また、公営墓地では継承可能ですが、墓石に2つの名前を並べて刻むことについては条件があります。墓地に刻まれた姓とは異なる姓を持つ使用者が亡くなり、その人の遺骨を埋葬する必要があるときのみ、継承者に名義変更を行った上で、改めて2つの姓を刻むことができます。あらかじめ2つの姓名を彫ったり、2つの墓石を建てることはできません。
民営墓地についてはそれぞれの規定がありますが、公営墓地よりもゆるやかであるようです。実家のお墓を継いでも、必ずしも自分の家名を入れなければならないというきまりはありません。この機会に家名を入れない墓石に建て替えるという方法も見られます。
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