「忌中」について |
日本には古来、「死」を忌み嫌うという習慣がありました。「死」は汚れたものであり、「死」に関わる様々な行事は、日常的な生活とは区別して行わなければならなかったのです。近親者が亡くなった時、葬儀を初めとして初七日、四十九日と死を悼む行事が続き、同時に大切な家族が亡くなったことの哀しみを少しずつ癒していくことになります。その期間を「忌中」と呼びます。
しかし近親者以外は、葬儀が終われば通常の生活に戻っていきます。こうした通常の生活をしている他の人に、「死」をできるだけ感じさせないようにするため、仏事以外の様々なことを控えて他との接触を避けるのです。「忌中」の期間は、家の門を堅く閉ざして、一切外出しないという時代もあったようです。
しかし現代では、四十九日までの期間、一切、他との接触を避けることは現実的に不可能です。そのためほとんどの場合、仕事や学校等に関しては、49日より短い一定の期間を過ぎれば通常通りに戻っています。一般的には、公務員の忌引休暇の定めが目安とされているようです。(下表参照)
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配偶者 |
7日間 |
父母 |
7日間 |
子ども |
5日間 |
祖父母 |
3日間 |
兄弟姉妹 |
3日間 |
孫 |
1日間 |
おじ・おば |
1日間 |
配偶者の父母 |
3日間 |
配偶者の祖父母 |
1日間 |
配偶者の兄弟姉妹 |
1日間 |
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「喪中」について |
これに対して「喪中」は、「喪」に服する期間、すなわち故人の冥福を祈り、追悼し、生活を慎む期間のことです。「喪中」にも、「死」の「汚れ」を避けるという意味合いは含まれていますが、現在では「追悼」の意味合いの方が強いようです。
この期間には、結婚式やパーティー、神社への参拝などは避けるものとされてきました。現在ではこの習慣はだいぶ簡略化されましたが、喪中期間に慶事は慎むべきだと考えている人は今でも多く、特に、喪中期間に年賀状を出さない習慣はほとんどの人が持っています。
年賀状、お歳暮、お年始に関しては先方が喪中の場合も慎むことが必要です。どうしても贈りたい場合は、時期をずらして「寒中見舞い」として贈るのがよいでしょう。
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