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『ご法事の心得(施主側)』

 まず、法事の運営がスムーズに運ぶように、法役、接待係、料理係の「三役」を事前に決めておきましょう。
 法役は、お仏壇や法事の祭壇を荘厳し、会場の雰囲気を整える係です。供物を揃え、ロウソクや線香の補充に気をつけるとともに、焼香の案内もします。接待係は、参会者の出欠の確認から法事の受付け、参会者の席の設置と案内、さらに茶菓の接待までを担当します。料理係は、お斎(おとき)の材料の仕入れ、調理、仕出しの注文、配膳や片付けをする係です。
 参会者を招いて法事を主催する施主とその一族は、故人との関係において「遺族」と呼ばれます。席次を決める時、遺族は招いた親族とともに祭壇に向かって右側の親族席に、祭壇に向かって左側は、参会した故人の知人や友人、世話役にします。会場に場所の余裕がない時は、前方に遺族、後方に親族一般が続いて着席します。
 法事の服装は、葬儀から初七日、満中陰までは、遺族は男女とも正式な喪服着用が礼儀です。一周忌や三回忌などは略礼でかまいませんし、七回忌以降は少しずつ略式にして平服でもかまいません。しかし、寺院や霊園で法事を営む時は、自宅で行うよりも正式な服装にするべきでしょう。いずれにしても数珠は必ず持ってください。
 寺院で営む時以外、僧侶を自宅に呼んだ場合、出張費としてお布施とは別封で「御車料」を包みます。到着した時は、施主は必ず玄関まで出て迎えましょう。
 法事の祭壇前には、金襴もしくは緋や紫の座布団をしいて、導師用の席を設けます。施主は法事の開始と終了時には、僧侶や参会者一同に向かって簡単に挨拶を述べましょう。導師を勤める僧侶の合図で焼香が始まりますが、その時、施主が一番に焼香し、その後、血縁関係の濃い順に焼香をしていきます。焼香がある時は、導師は脇に寄りますので、その時に正面の導師用の座布団は脇にずらして、導師の席としましょう。
 読経と法話が終わってから、僧侶を別室へ案内し、謝礼としてお布施を渡します。これは施主が故人に代わって、仏教徒として仏教を盛んにするお手伝いをさせてもらうためのお供えなのです。のし袋(不祝儀袋)に「御布施」と書き、家名または施主の姓名を記します。水引きをかけるのが正式で、水引きの色は黒白、黄白、または銀一色とします。お包みする紙幣は、なるべく新しいものをたたまずに使いましょう。

 


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