『提灯について』 盆には、霊に帰ってくる家を知らせる目印として、提灯に火を灯して飾るのが習わしになっています。提灯は、軒先に吊したり、精霊棚の両脇に飾って夜には点灯します。特に新盆を迎える家では、「初盆(新盆)提灯」という白張りの提灯を用意します。正式には新盆の家の家紋を入れた白い提灯がしきたりですが、この白い提灯は初盆の時にだけ使うもので、お盆が終わる時には送り火で焚いたり、壇那寺におさめたりしなくてはなりません。そこで最近では、あまり白張りにこだわらず、毎年使えるように絵柄のついた提灯を新盆の時にも飾ることが多くなりました。
新盆には、近親者や故人と縁の深かった知人や友人が、提灯を贈る例が多く見られます。しかし、最近では、住宅事情の関係で、たくさんの提灯を飾る場所がありません。ですから、贈る側はよく先方にうかがった上で、「御仏前」と表書きした金封を贈り、喪主に購入してもらうという方法もあります。いずれにしても、贈る時はお盆の1週間前までに届くように手配するのが礼儀です。なお、以前は、新盆の提灯は近親者から、その他の提灯は親戚や知人から贈るというのが正式でした。
また、浄土真宗には、霊魂が位牌に宿るとか、盆に帰ってくるという考え方はしないため、特に他の宗派のような新盆の行事もありません。したがって、新盆の提灯をお供えする習わしもありません。
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