『お供え物について』 お供えというものは、仏様やご先祖様への敬いの心を表現するものです。仏様ご先祖様に感謝の気持ちをこめて楽しんでいただく、それがお供えです。きちんとお供えされた仏壇はとても華やかに見えるため、お供えをすることを「飾る」ということもあります。
中でも重要なお供えは、香、花、灯燭、浄水、飲食で、これを五供といいます。
これは、家にお客様がいらっしゃるときのおもてなしと同じことなのです。お客様をお迎えするときに、匂いを楽しんでいただくために香をたき、美しさを楽しんでもらうために花を生け、気持ちが明るくなるように明かりをともし、喉の渇きをいやすお茶と味を楽しむ食事を用意すること、これは仏様、ご先祖様へのおもてなしである「お供え」が基本になっているのです。
ちなみに、この仏前へのお供えの考え方を、大切なお客様へのおもてなしに生かそうとしたのが懐石(料理)なのです。
仏前にお供えをするということは、最も大切なお客様をおもてなしするという気持ちで行うことが大切なのです。
この五供がお供えの基本ですが、人から頂き物をしたときなどにも、それを仏壇にお供えすることを心掛けたいものです。お菓子をいただいたり、果物をいただいたりしたら、一度仏壇にお供えして、自分は仏様からその「お下がり」をいただくのです。
こうした習慣は、人に感謝の気持ちを育てていきます。そして仏様やご先祖様によって自分は生かされているのだという謙虚な気持ちを育てます。
いつもきちんとお供えしている家では、子供らも常にそれを見ていますから、子供たちにも感謝の気持ち、謙虚な気持ちが次第に育っていくものです。
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