『仏壇の中心はご本尊』 教的機能を完全に備えているとはいえません。そこで、仏壇が本当の意味で礼拝の場として機能するためには、中心となる礼拝の対象が必要になります。この中心になるのがご本尊なのです。
ご先祖を偲ぶものだから、位牌が中心だと思っている方も多いようですが、これはあやまりで、中心となるのはあくまでもご本尊ということになります。 《宗派によって異なるご本尊》
ご本尊にはいろいろな形があります。大さく分けると、木像、画像、名号、曼荼羅などです。いずれをご本尊としてお迎えするかについては、それぞれの宗派によって決まりがあり、それに沿った正しいものをお迎えする必要があります。場合によっては、本山から下付されるところもありますので、お迎えする前に、かならず檀那寺に相談しておきましょう
さきほど、ご本尊の形についてふれましたが、実際にご本尊に何をお迎えするかは、宗派によってさらに多様です。
では、なぜ同じ仏教のなかにさまざまなご本尊が存在するのでしょう。
この世に仏教をもたらしたお釈迦さまが弟子に説いた説法は、その死後、いわゆる「お経」という形になって現在に伝えられています。その数は八万四千といわれるほど膨大な量といわれます。そして、現在日本において主要な宗派を形成したそれぞれの祖師たち(最澄、空海、法然、道元、親鸞、日蓮など)は、自らの考えにかなった経典をよりどころとして、教えをひろめました。それぞれの経典によってその中心となる仏さまが違いますから、教義と信仰の対象であるご本尊が変わってくるのです。
なお、各宗派のご本尊はあくまでも一体です。宗派によって三尊仏の形式や、左右両側に脇掛や祖師像などをまつるところもありますが、あくまでも中央の仏さまがご本尊になるのです。 《各宗派のご本尊》
わが国の仏教の宗派は、五百以上もあり、それぞれにそのご本尊が決められておりますが、その主なものを紹介しておきましょう。ただし、ご本尊を中心としたお仏壇のまつりかたは、お仏壇の 大きさや構造、また地方のしきたりなどで違いがあります。実際にご本尊をお迎えする際には、檀那寺に相談してからにしてください。
天台宗………釈迦如来又は阿弥陀如来
真言宗………大日如来
浄土宗………阿弥陀如来
浄土真宗本願寺派………阿弥陀如来
真宗大谷派………阿弥陀如来
臨済宗………釈迦如来
曹洞宗………釈迦如来
日蓮宗………十界曼荼羅又は釈迦如来 《開眼法要を営みましょう》
新しいご本尊をお迎えしたときには、まず適当な日を選んでお寺さんにお参りいただき、「開眼法要」を営むことになります。これは別名「御魂入れ」「お性根いれ」などと呼ばれるもので、新しくお迎えしたご本尊を家族みんなが丁重にお迎えし、お仕えさせていただく大切な法要です。
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