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『真言宗とは』

(歴史)
 真言宗は平安時代に空海(774〜835)によって開かれた宗派です。
 空海(弘法大師)は密教の本格的な学習を志して私費で唐に留学、恵果和尚により密教のすべての教えをさずかり帰国しました。そして帰国後、宗旨を「真言宗」と名づけ開宗しました。空海は京都の高雄山神護寺や東寺をその活動の拠点として、真言宗の発展につとめ、高野山金剛峯寺において六十二年の生涯を閉じました。
 その後真言宗は多くの派にわかれることになりますが、これらを大さく分けると新義派と古義派になります。
 新義派の代表的なものは奈良の長谷寺を総本山とする真言宗豊山派、京都の智積院を総本山とする真言宗智山派、和歌山の根来寺を総本山とする新義真言宗などです。
 これらは十二世紀の前半にあらわれた興教大師覚鑁の系統を引いた宗派です。覚鑁は当時沈滞していた真言教学の振興や密教の刷新を行い、高野山の復興をはかりました。
 いっぽう古義派の代表的なものは、和歌山県の高野山金剛峯寺を本山とする高野山真言宗、京都の醍醐寺を本山とする真言宗醍醐派、東寺を本山とする東寺真言宗、仁和寺を本山とする真言宗御室派、皇室の菩提寺として知られる、泉涌寺を本山とする真言宗泉涌寺派、勧修寺を本山とする真言宗山階派などがあります。これらは古くからの伝統を受けついだ宗派です。

(教え)
 真言宗は真言密教ともいわれます。密教とは顕教に対するもので、特徴的な思想として身説法と即身成仏の教えがあります。前者は法身(絶対者)である大日如来を宇宙の根元的な生命力とみなし、すべての事物はこの大日如来の説法であると説くもので、後者は我々も密教の教えの実践によりただちに仏になることができるという教えです。そしてこの密教の教えの実践として手で仏の印をむすび、口で真実の言葉(真言)を唱え、一心に仏を念ずる三密行が説かれています。

(ご本尊)
 真言宗では多くの仏さまをお祀りします。しかしその中心、つまり根本仏となるのは大日如来です。その他の仏さまはいずれも大日如来の特性が部分的に与えられているものとして信仰の対象となっています。これらの仏さまには次のようなものがあります。不動明王、釈迦如来、文殊菩薩、普賢菩薩、地蔵菩薩、弥勒菩薩、薬師如来、観世音菩薩、勢至菩薩、阿弥陀如来、阿門如来、虚空蔵菩薩。さらに、宗祖である弘法大師空海を「お大師さま」とよぶ祖師信仰も真言宗の特長です。

 


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