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『天台宗とは』

(歴史)
 もともと天台宗は中国の南北朝時代の僧・智 (538〜597)が法華経を中心として確立した教えです。天台とは、この智 がいた中国の浙江省にある山の名前で、それゆえ智 は天台大師といわれます。いっぽう日本の天台宗は平安時代に有名な伝教大師・最澄(767〜822)によって開かれました。
 最澄は十五歳で得度、十九歳の時には東大寺の戒壇院で受戒しました。しかし当時の仏教界は表面上は仏法が興隆して盛んにみえるものの、本当の教えを忘れ、腐敗しているありさまでした。この状況を見かねた最澄は、奈良の都を去り、比叡山にこもって十二年間の長きにおよんで修行にはげみました。
 その後最澄は、官費留学僧として唐(現在の中国)に渡り、天台山で道邃と行満について天台学を学び、また竜興寺において順暁からは密教を、ほかにも牛頭禅、大乗戒を学んで帰国しました。そして延暦二十五年(806)、最澄は日本天台宗を開創したのです。
 最澄の没後も門下より円仁・円珍らが入唐して日本に密教をもたらしたほか、平安中期には良源が出て比叡山を中興するに及びました。また鎌倉時代に入ると、法然(浄土宗)、親鸞(浄土真宗)、栄西(臨済宗)、道元(曹洞宗)、日蓮(日蓮宗)らが、それぞれ比叡山で修行した後、現在にまで続く宗派を開いています。
 このように天台宗はわが国の仏教の源であり、ふるさとともいえる宗派なのです。
 天台宗の総本山は比叡山延暦寺(滋賀県)です。天台宗から別れた宗派として、円珍門下の余慶が拠った大津の園城寺を本山とする天台寺門宗、真盛によって開かれ、大津の西教寺を本山とする天台真盛宗などがあります。
 また有名な大阪の四天王寺、東京の浅草寺、京都の鞍馬寺なども天台宗の寺院でしたが、戦後それぞれ一派を形成するに至っています。

(教え)
 天台宗はお釈迦さまの最高の教えである法華経を最高の教典とし、この法華経を中心として、天台円教・密教・禅・戒・念仏などを融合した総合仏教といえます。
 すべての人には仏になる可能性が存在し、それを開花するように努力することによってだれでも仏になることができる、と教えています。

(ご本尊)
 天台宗のご本尊は久遠実成の釈迦牟尼仏です。これは「法華経」の第十六章の如来寿量品に説かれています。久遠実成とは法華経の中で説かれているもので、お釈迦さまは今もなお生きつづけて説法されているという教えです。しかしながら、さまざまな仏さまは釈迦牟尼仏より縁にしたがって現れたものだという考えにより、阿弥陀如来、薬師如来、大日如来、観世音菩薩、地蔵菩薩その他多くの仏さまをひとしく尊信しています。


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